前回に引き続き、
円柱を描く時の透視図法について
書いていきたいと思います。
始めましての方は
ぜひ前回から読んでいただけると嬉しいです。
円柱を歪ませて描いてしまう人は要注意!
立てて置いてある円柱の楕円は傾かない
以前
円のパースについての記事でも書いていますが、
円柱の底面・上面になる楕円を描く時
楕円の横軸は円柱の中心軸と垂直に交わります。
なので、
真っ直ぐ立てて置いてある円柱の底面・上面は
横軸が水平方向のままなはずです。
ですがどういうわけか、
底面の楕円をパースに沿って描こうとして
傾いた楕円を描いてしまう、という場合も
ちらほらお見かけします。
なぜ、そういう歪んだ楕円になってしまうのでしょう?

こちらは以前にも載せた画像ですが、
楕円を歪ませて描いてしまう方の多くは
床面やテーブル面に目安となるグリッド線を入れて
その線に従って円柱を描こうとしているようです。
ですが、それは
置いてある位置や大きさの目安にはなるものの、
円柱自体が持っているパースとは異なります。
上図を見ると、
左右の正方形をそれぞれ正面から見た場合、
角度が違うので
それぞれの正方形には違う位置に消失点が出来るはず、という事が分かります。
なのに、それに内接する円は
全く角度は変わらないので
見た目は全く変わらないはずなのです。
仮に立方体の中に円柱があるというイメージでパースを取ったとします。
そして、
立方体のために設定したその消失点を使って
円柱も同じように描こうとしたら
円柱の形は破綻してしまいます。
床面の消失点と円柱楕円の消失点は別!

上図は、
「消失点の決め方がわかる本」のおまけページに載せた画像を
ちょっと編集しなおしたものです。
並べて描いてしまっていますが、
それぞれ、立方体の手前角が正面にある状態で見ている図だと思ってください。
立方体の角度を変えると
平面図でも透視図でも、
立方体の見え方は変わりますよね。
ですが、
その立方体に内接する円柱があったとして、
見た目はこうなります。

外側の立方体がどこを向いていようが、
中にある円柱は同じ形のまま
見た目はほとんど変わらないのです。
(※立方体角を基準にすると
立方体を傾けると中心軸位置がずれるので、
円柱の位置も若干ずれます。)
前回もお伝えした通り、
円柱の楕円を描く為の消失点とは、
つまりは
円柱の中にある三角柱の消失点である
と考えると消失点が分かります。
立てて置いてある円柱であれば
どこにどの向きに置いていようと
中の三角柱の角度はずっと
45°のまま。
同じ位置から真っすぐ前を見ている場合、
たとえ円柱の位置をずらしたとしても
その消失点の位置は変わりません。
なので
円柱の位置を変えたからといって
楕円の横軸があっちこっちに傾くということは
無いはずなんですよね。

描こうとしている全ての物に対して、
「それぞれが全て別の消失点を持っている」
と意識しておかないと
同じ消失点を使っていろんなものを描こうとして
歪んだ形に描いてしまう、
という失敗が起こりがちです。
特に床面グリットの消失点には惑わされないように
注意しましょう。
円柱位置をずらした場合の透視図の描き方
前回載せた描き方では
「円柱を真正面から真っすぐに見ている」
という設定になっていました。
では、
円柱が真正面からずれた位置にある場合は
どうすればいいのでしょうか。
下図は、先ほどの図と同じ設定の透視図です。
視線の中心は立方体の角になっているので、
円柱の正面とは少しずれています。
ですが、消失点は立点からの角度によって決まるので
モチーフ自体をずらしても
消失点の位置は
モチーフを真正面から見ている時と変わりません。
ただ、
円柱は画面(PP)よりも奥にあるので、
高さの基準とする位置に注意しなければいけません。

平面図で、
モチーフの角度を保ったまま辺を延長し
画面(PP)の線とぶつかる点を出します。
その位置から垂線を下ろします。
その垂線上での高さが基準となります。
その高さから消失点に向かって線を引くと
透視図に描くべき高さが分かります。

上図は
「足線法」を使って描いています。
足線法については
こちらの記事を読んでみていただけると嬉しいです。
と、いうわけで。
私個人的には
なかなか面白い発見だったなぁ~
なんて思っているのですが……。
伝わるでしょうか……?
(;・∀・)
少しでもお役に立てる部分があれば幸いです。
ではまた♪
(^^)/