近距離モチーフのパース・その2(足線法)

透視図法

透視図法についての2回目となります。
(*^^*)
始めましての方は、
ぜひ前回から読んでいただけると嬉しいです。


※この記事での描き方は
デッサンとして仕上がるサイズとは異なり
モチーフ自体はかなり小さいサイズに描き上がります。
正しいパースで描くと
消失点へ向かう角度はどのくらいになるのか
立方体の角度や奥行きはどれくらいになるのか
を確認するための練習だと思ってください。

消失点の決め方

前回にも書いたように、
正しい形で描くためには
消失点も正しい位置に定めなくてはいけません。

・モチーフまでの距離
・アイレベルの高さ

 (モチーフを置いた面と目の高さの差)
・モチーフを置く角度

の3つをはっきりと決めます。
これは適当ではなく、
実際に机に向かって座ってみて
できれば立方体のモチーフもその設定で用意してみてから決めましょう。

今回は2点透視で描いていくので
特にアイレベルは、
顔を傾けなくても自然に見える高さに。
見下ろしたり見上げたりせずに、顔が真っすぐの向きのままで
自然に見える位置で決めましょう。
見上げたり見下ろしたりでは、
3点透視じゃないと無理になってしまいます。


以下の図は
画像をクリックすると拡大表示できます。
拡大されない場合はブラウザでの表示に切り替えてから
改めてクリックしてみてください。

今回は15㎝の立方体を想定し、1/10の縮尺で描きます。
この設定だとA4用紙でも収まります。

①まずは画面(PP)と立点(SP)を定めます。
上に平面図が入る分を考えて画面(PP)を引き、
そこから70㎝分(1/10なので7㎝)離れた位置に
立点(SP)を定めます。
慣れないうちは用紙ギリギリに描くことは難しいので
大きめの紙を用意することをおすすめします。
三角関数を使うと計算だけで位置を決めることも出来ますが、
今のところ
分度器または三角定規と長めの定規を使って
地道に引いてみてください。


②立点(SP)から引いた垂線が、視線の中心です。
立方体の一番手前の角が画面(PP)に接するように平面図を描きます。
平面図は、真上から見た状態の図です。
一番手前の角が、自分の真正面より5㎝右にずれている
という設定で描いていきます。
角が真正面でも、ずらすのが左側でもOK。
描き方は同じです。
(ただし、大きくずらしすぎないように!理由はのちほど!)


③立点(SP)から画面(PP)に向かって
モチーフの面と平行になる角度で線を引き、
PPとの交点A、Bを出します。
この時、交点A、Bさえ分かれば良いので
線を全部引かなくても大丈夫です。


④平面図の下に透視図を描いていきます。
今は分かりやすいように立点より下に描いていますが、
実際には立点(SP)と画面(PP)の間に描いても大丈夫です。
図では後程。
③で出した交点A、Bから垂線を引き、
アイレベルとして引いた水平方向の線と
A、Bからの垂線との交点が左右の消失点となります。

基線(GL)とは、
前回の図でいうと

画面(PP)の下端にあたります。



立点(SP)と画面(PP)の間が無駄になるので、
実際にはそこに透視図を描いていくのが現実的です。
アイレベルと基線(GL)の幅が正しく、
消失点がA、Bから左右にずれることなく定めてあれば、
用紙のどこに描いても大丈夫です。
ただA、Bからの垂線だけは決してずらさないように!

透視図を
開いたスペースにずらすとこうなります。

⑤平面図での立方体の角から
立点(SP)に向かって線を引き、
画面(PP)との交点を出します。(赤い点)
ここでも交点さえ出せればいいので、
線は角からPPに達するまでで大丈夫です。
透視図を描く部分は出来るだけあけておきましょう。
この、平面図とSPをつなぐ線を
足線と呼びます。(図では黄緑線)

⑥足線と画面(PP)との交点と
PPと接している角の位置から
基線(GL)に向かって垂線を引きます。
(図では水色線)
手前角から降ろした垂線上に、
15㎝分(1/10なので1.5㎝)の辺を描き込みます。
透視図はPPでの状態を再現するものなので、
PPに触れている部分は実際の長さと考えます。

⑦先ほど引いた15㎝の辺の上下端から
消失点に向かって線を引きます。
その線と⑥で引いた垂線との交点が
透視図での立方体の角になります。

⑧左右の縦の辺を描き込み、
その上下端から消失点へと線を引くと
立方体の上面が描けます。


これで、
・モチーフまでの距離70㎝
・アイレベルの高さ35㎝
・モチーフの角度60°/30°
・自分の真正面より手前角が5㎝右にずれている

という状態の立方体を
1/10 サイズで再現することが出来ました。

実際に同じようにモチーフを配置できるなら、
描いた透視図と
実際にその設定で置いてみたモチーフが
同じように見えるかどうか
ぜひ試してみて下さい。
(*^^*)


というわけで、
「消失点の決め方には正解がある」
という事が伝わっていたら嬉しいです。


。。。ですが、
こうやって正しく消失点を決めたつもりでも、
場合によっては
描いた透視図が歪んでしまう事があります。

それはどういう場合に起きるのか、
次回に詳しく解説していきたいと思います。
(*^^*)



少しでもお役に立てる部分があれば幸いです。

ではまた♪
(^^)/





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