近距離モチーフのパース・その1(導入編)

透視図法

デッサン初心者としてまずぶち当たった壁が

「正しい形で描く!」
「正しいパースで描く!」

・・・って、
一体どうすればいいんだろう???
という事でした。

デッサン練習にあたって、
私自身は
まずは「形を正確にとらえられるようになる」
というのを最初の目的としています。

形をとる段階で間違っていると、
そのあとどれだけ時間をかけて
細部の作りや質感、陰影を描き込んだとしても
結局はおかしな絵にしかならないからです。


「やみくもにたくさん描く」だけでは上達しない、
という事も嫌というほど実感しています。
(;・∀・)

自分の描いたものの形が、

「これでいいのかな???」
「なんだか微妙におかしい気もするけど、
 どこを直したらいいか分からない。。。」

という状態では
いくら描いても迷宮にハマるだけな気がします。

そこで、
形をとるにあたって

「これが正解!」
「ここをこう直せば良くなる!」

という明確な答えを知りたくて
透視図法について少しだけ学んでみました。

今回からしばらく
透視図法(パース)についてのお話が続きます。

「透視図法、やってみてるけど何だか上手くいかない」
「ちゃんと消失点に向かって描いているのに歪んで見える」
「消失点をどう決めたらいいか分からない」

とお悩みの方には
ぜひ読んでいただきたい内容となっております。


にわか仕込みで
至らない部分も多いとは思いますが、
お付き合いいただけると幸いです。
(*^^*)



※この記事では
消失点とは、1点透視とは、2点透視とは、
という初歩段階の解説はガッツリ省かせていただきます。
完全にゼロスタートで透視図法について知りたい方は、
申し訳ないですが
ちょっとだけ検索で他を見てから戻ってきていただけるとありがたいです。
(;・∀・)

 

※この記事では
デジタルのパース定規などは使わず
アナログで描くことを前提としています。

パースって何?


イラストや絵画の教本などを見ると
必ずと言っていいほど
「パース」という言葉がでてきますね。

パースとは
perspective(パースペクティブ)の略で、
遠近法、透視図法、
または透視図法を使って描いた図そのものを示すこともあります。

消失点に向かう線や、その線の角度の事を
パースと呼んでいる方もいるようですね。

ありがちなパースの間違いとは



上の図が2点透視で
「卓上に置いた立方体モチーフを描いたもの」だとしたら、
大きな間違いが一つあります。
何だか分かりますか?


それはズバリ、
サイズ感の間違いです。


具体的に何がどれだけ違うのかというと、
上の図での消失点は
・モチーフまでの距離70㎝
・アイレベルの高さ35㎝
・モチーフの角度60°/30°
・縮尺1/10

という設定で決めた位置です。
(※モニター表示では実際のサイズとは異なりますが、
  A4用紙幅(210㎜)に収まるくらいの図
  だと思ってください。)

縮尺1/10なのにこのサイズで描いてしまったら、
それを実際の大きさに戻すと
これくらいになってしまいます。

かなり大きいですね。
テーブルにも乗せきれないです。

 (※モチーフが正面を向いた形になっていますが
  そこは多めに見てください。)

※印が多めでスミマセン。
(;・∀・)
   

立方体モチーフが1辺15㎝のものだとすると、
同じ設定で描くと
これくらいの大きさになります。


最初の図とは全然違いますね。
小さなモチーフを描く場合は
消失点はかなり遠くなるので、
同じ紙の中に両側の消失点を入れて描こうとすると
描き上がるモチーフは
とても小さなものになってしまいます。

デッサンであれば、
大きな紙の真ん中に大きくモチーフを描きたい!
というのが当たり前だとは思います。
ですが、
まずは小さくても正しいパースでモチーフを描いてみて
「どういう形に仕上がるのが正解なのか」
「消失点に向かう角度はどのくらいになるのか」
を知っていく事がとても大事だと思います。

後に、
小さく描いた透視図を元の大きさに拡大する方法
などもお伝えしていく予定ですので
お楽しみに♪
(*´艸`*)

設定をしっかり決めてから描こう!

先ほどもチラッと書きましたが、
消失点を決めるためには

・モチーフまでの距離
・目線の高さ

(モチーフが置いてある面から目の高さまでの差)
・モチーフを置く角度

が決まっていないと
消失点を正確に決めることは出来ません。



アイレベルの高さだけ決めて
「だいたいこのくらいかな?」
という感じでも透視図法としては一応成立しますが、

正確なサイズで描きたい!
と思ったら、
やはり

「立方体っぽく見える」
ではなく、
「立方体として、縦の辺と奥行きの関係が正しい」
とい言い切れる形に仕上げたいと思うのです。


おおまかなアタリを取ってササっと描けちゃう方というのは、
考えなくても空間認知力が備わりきっているくらい、
たくさん描き込んで経験を積んでいるからこそだと思います。


そうでないからこそなかなか自信が持てない、
という方は
一旦描くのをお休みしてでも
透視図法についてしっかり学んでから描く練習をする
というのもアリかなと思います。

やみくもに描き続けて、
描いても描いても上手くならない、、、
という感覚は
なかなかにしんどいですからね。
(;・∀・)

「建築パース」の考え方


立方体の奥行きを
どうやったら正確に決められるんだろう???

としばらく悩んでいたのですが、
建築パースの描き方を使えば
正しい立体図が描ける
という事を知りました。

建築パースというと
建築前の図面から、
設計図のサイズ通りの見た目になるよう
立体での完成図を描いたりする技術です。


「絵の描き方」や
「絵の練習方法」などで検索したとしても
全然出てこないかもしれません。

私自身、「絵」と「建築」が
私の中で全然繋がっていなかったので
気付かなかっただけかもしれません。。。
(;・∀・)

画面 (PP)という概念


イラストや絵の教本などでは見た事が無い言葉であり
私自身は全く知らなかった感覚です。

建築パースではほぼ必ず
画面(PP/picture plane)
という言葉が出てきます。


絵の世界で「画面」というと、
キャンバスなど
自分が描いている方の面そのもの、
のようなイメージがあるのですが(私だけでしょうか?)、

建築パースでの「画面」というと、
「描こうとする対象となっている面」になります。


言葉だけではちょっと分かりづらいと思うので
簡単な図を描いてみました。
(この図ではパースは適当ですが
 多めに見てください。)

モチーフの前に
自分の体(または顔)の向きに対して平行の面があるという考え方です。
透明なアクリル板を立ててあるようなイメージですね。

真上から見たらこんな感じ。

※「立点」は、建築物を描く場合は
見ている人が立っているポイントになります。
近距離のものを描く場合には
「体の中心」にするとかなりのズレが発生してしまいます。
よって、「目の位置」を「立点」とした方が正確です。

※この図もモチーフの向きが違いますが
 そこはスルーしてください。



透視図というのは、

「立点 (SP)の決まった高さから
画面(PP)を見た場合に、
画面(PP)はどのように見えているか」
を再現したもの

だと考えてもらえたらいいのかなと思います。


ちなみに、
「立点」のSPは
日本の書籍では「Standing Point」
と書いてあるものが多いようです。
ですが、以前読んだことがある英語の本では
SPは
「STATION POINT」という表記だったので、
ずっとSはStationだと思っていたのですが。。。
どっちが正しいんでしょう?
(;・∀・)


正直、デッサンの場合
座っているので「立点」というのも違和感があるし、
「消失点や測点(ここではまだ出てきません)を決めるために配置する点」
だと考えたら
Station Point の方がしっくりくるなぁ~
と思っているのですが。。。

まぁ、どっちでもいいっちゃいいんですけどね。
(;・∀・)



。。。と、いうわけで。
導入編が無駄に長くなってしまった気がしますが。
(;・∀・)

次回では、
・消失点の決め方
・決まったサイズ通りに立方体を描く方法
について具体的に解説していきたいと思います。

引き続き見に来ていただけると嬉しいです。



少しでもお役に立てる部分があれば幸いです。

ではまた♪
(^^)/






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